葉酸の化学的性質と生理作用

葉酸は抗貧血因子として見いだされ、ホウレンソウから単離されました。
化学構造はプテリジン環、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸からなり、プテロイルグルタミン酸ともいいます。天然には還元型の5,6,7,8?テトラヒドロ葉酸に1炭素付加した誘導体や、プテロイルグルタミン酸にグルタミン酸が付加した誘導体などが存在します。狭義の意味ではプテロイルグルタミン酸です。
橙黄色の結晶で、酸性では水に難溶であるが、pH7以上で溶解する。光に対して不安定で、徐々に分解されます。

生体内でNADPH?により還元され、7,8?ジヒドロ葉酸を経て、THFとなります。そして、THFはさまざまな1炭素単位の転移反応の補酵素となり、アミノ酸代謝、核酸代謝に関与します。
C?単位はホルミル基(?CHO)、ヒドロキシメチル基(?CH?OH)、メチル基(?CH?)があり、1炭素単位は5,10位のNに結合し、誘導体となり、C?単位を運搬します。C?単位としてはメチオニン、チミンからメチル基、セリンからヒドロメチル基、ヒスチジンのグルタミン酸が生ずる過程で生成するホルミル基がそれぞれ供給されます。

THFに結合した1炭素単位は、チミジル酸合成酵素などによるヌクレオチドの生成、分解に利用されることから、細胞増殖に重要なビタミンです。また、グリシンからセリンや、ホモシステインからメチオニンの生成など、アミノ酸やタンパク質の生成にも関与しています。

多くの食品に含まれており、腸内細菌によって合成されることから、欠乏は起こりにくいですが、欠乏すると、核酸、タンパク質の代謝、細胞増殖、分化に障害が生じます。欠乏によりDNA合成が阻害され、巨赤芽球から赤血球への成熟の障害により、巨赤芽球貧血となります。これは核酸の生合成が阻害されることにより、分裂速度のはやい赤血球がとくに影響を受けるためと考えられています。
妊娠時に不足すると、神経管異常の新生児が生まれるリスクが高まるため、妊娠している方は特に摂取する必要があります。日本では神経管欠損症のリスクを軽減するために、妊娠前からの400(?g/日)の摂取が推奨されています。

拮抗物質であるメトトレキサートは抗がん剤として用いられています。還元酵素活性を阻害し、THFレベルを低下させることにより、核酸の合成、細胞の増殖を阻害します。

含有食品は酵母、肝臓、腎臓、緑黄色野菜、ダイズなどに含まれます。